大切なのは自分の愚かさの自覚

面白い議論だなーと思ってそれぞれ読んでいたのですが、こと精神論的な点に着目すると、一番のポイントは徳保さん言われるところの「夜郎自大、自戒すべし」というか、自分自身の愚かさを常に自覚すべしというところに尽きるのではないかと。
これだけ他分野にわたり高度化と細分化が進んだ社会にあっては、そこで毎日起こっているさまざまな事件や事象の本質に関して、いずれも一人の人間が完全に的確な判断を下すことは不可能に近く、かといって特定の情報源(例えばマスコミ)であるとか情報収集のために便利なツール(例えばネット)に頼って「自分は(新聞に毎日目を通しているから/ネットで情報収集しているから)世間のことはきちんと分かってるぜ」などという思い込みに浸ってもそれは詮無いことであると。
殊にネットは人間の精神的活動範囲を著しく拡大するので、「自分はこの世のすべてを見通せている」というような傲慢な心性が生まれやすいのだと思いますが、人間の情報処理能力や思考能力には常に限界があることを深く自覚し、「自分の考えは(ひょっとしたら)間違っているのかもしれない」と思いながら、それと同じ基準で他人の意見や考えの正誤を判断していけば、それほど大きな失敗をやらかす可能性は低くなるような気がします。行動はともかく思考のレベルでは慎重になって損することはないと思いますし。